IT関連機器の卸売業を営む高橋正志さまは、15年前に投資用として購入した事務所ビルの売却を検討していました。
周辺で複合商業施設の開発が進む地域に位置するこのビルは、売却のタイミング次第で大きく価値が変わる可能性があり、経営者として慎重な判断が求められていました。
さらに、5つのテナントが入居している状況での売却は、予想以上に複雑な課題を抱えていたのです。
そんな中、知人の税理士からクラウドハーツ・リアルエステートの不動産売却コンサルティングを紹介され、市場分析に基づいた戦略的なアプローチで最適な判断ができたといいます。
今回、不動産売却コンサルティングを受けた高橋さまに詳しいお話をうかがいました。
「いつ売るべきか」複合商業施設開発という変化の中で、事業用不動産の売却タイミングを見極めるまで
代表 西田:本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
高橋さま:こちらこそ、よろしくお願いします。事業用不動産の売却って、想像以上に難しいんだなと実感しました。同じように事業用物件の売却で悩んでいる方の参考になればと思い、お話しさせていただきます。
事務所ビルの売却を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか?
15年前、会社の業績が順調だった時期に投資用として購入した事務所ビルでした。当時は「将来の資産形成」という考えで購入したのですが、最近になって周辺環境が大きく変わり始めたんです。
具体的には、徒歩5分圏内に複合商業施設の建設計画が正式に発表されました。
開発が完了すれば地価は上がるだろうという予測もある一方で、この地域はもともと静かなオフィス街で、商業エリア化によって賃貸ニーズが変わる可能性もあります。
実は築33年という建物の老朽化も気になっていて、大規模修繕が必要な時期に差し掛かっていました。修繕には多額の投資が必要で、それを負担するなら売却も選択肢だと考えるようになったんです。
事業用不動産ならではの悩みや課題はありましたか?
正直、自宅の売却とは全く違う複雑さがありました。まず、5つのテナントさんが入居している状況で、どのように売却を進めるべきか分からなかったんです。
テナントさんに事前に伝えるべきか、それとも買い手が決まってから伝えるべきか。あるテナントさんとは10年以上のお付き合いで、信頼関係も築いてきました。
突然の退去を求めるわけにもいかず、でも売却を進める上でテナントの状況は買い手にとって重要な判断材料になります。
さらに、タイミングの読みが本当に難しかったですね。今売れば確実に一定の価格で売れるけれど、開発後まで待てば価格が上がる可能性もある。
でも、その間の修繕費用や管理の手間を考えると、どちらが得なのか判断がつきませんでした。
不動産売却コンサルティングを受けようと思った理由を教えてください
税務の観点からのアドバイスは受けていたのですが、不動産市場の動向や売却戦略については専門外だと言われました。
私自身、事業では数字を見て判断することには慣れていますが、不動産の価値判断は別物ですからね。特に、特殊な状況下での市場分析は、素人には難しいと感じていました。
何より、テナントさんとの関係を保ちながら進める方法を知りたかったんです。事業をやっていると、人間関係の大切さは身に染みて分かっていますから。
コンサルティングで得られた具体的なアドバイスはどのようなものでしたか?
まず驚いたのが、複合商業施設開発に関する詳細な市場分析でした。
過去の類似事例として、ショッピングモールなど商業施設ができた地域の不動産価格の推移を、開発前から開発後まで追跡したデータを見せていただいたんです。
それによると、複合商業施設の開発は住宅地には好影響を与えますが、オフィスビルには必ずしもプラスにならないケースもあるとのこと。
特に小規模な事務所ビルの場合、周辺が商業化することでオフィスとしての需要が減り、むしろ価値が下がる場合もあるそうです。
私のビルの場合、開発工事開始まであと1年半という時期でした。データ分析の結果、「商業化が本格化する前の今が売り時」という判断を示していただけたわけです。
実際にどのような売却戦略で進めることにしたのですか?
コンサルティングで得た情報をもとに、開発が本格化する前の1年以内に売却完了を目指すことに決めました。
テナントさんには丁寧に状況を説明し、新しいオーナーへの引き継ぎという形で理解を求めました。幸い、皆さん協力的で、内覧の際にも好意的に対応してくださいました。
売却先については、事業用不動産の扱いに慣れた買い手を優先することにしました。
クラウドハーツ・リアルエステートさんから紹介された不動産会社3社に査定を依頼し、それぞれの提案内容を比較検討したんです。
単純に高い査定額を出した会社ではなく、売却戦略の具体性や、これまでの実績を重視して選びました。結果として、想定していた価格より少し高い金額で売却の話が進んでいます。
何より、テナントさんとの関係を壊さずに進められていることが嬉しいですね。
コンサルティングを受ける前と後で、考え方や判断基準は変わりましたか?
大きく変わりました。
最初は「複合商業施設ができたら地価が上がるはず」という漠然とした期待がありました。でも、市場分析のデータを見て、不動産の価値は単純な期待だけでは決まらないと気づいたんです。
商業化の影響、建物の用途適性、買い手の心理など、さまざまな要素が絡み合っています。事業経営でも同じですが、感覚ではなくデータに基づいて判断することの大切さを、改めて実感しました。
また、テナントさんとのコミュニケーションの取り方も学べました。
売却を「隠すべきこと」と考えていた部分も少しあったのですが、誠実に伝えることで信頼関係が深まることもあるんですね。これは会社経営にも通じる教訓でした。
これから不動産売却を考えている方へアドバイス
事業用不動産の売却は、居住用とは全く違う視点が必要です。特に、周辺環境の変化や市場の動向を、自分の感覚だけで判断するのは危険だと感じました。
私の場合、「複合商業施設開発で価値が上がる」という思い込みがあり、それが判断を鈍らせていた部分があります。
専門家の客観的な分析があったからこそ、最適なタイミングで動けたと思っています。
もし皆さんが事業用不動産の売却を考えているなら、市場データや類似事例をしっかり調べることをおすすめします。そして、テナントがいる場合は、その方々との関係も大切にしながら進めることが重要です。
焦って判断せず、データに基づいた冷静な戦略を立てることで、きっと納得のいく結果が得られるはずです。
【体験者プロフィール】
名前:高橋 正志さま
年齢:58歳
居住地:東京都
自己紹介:IT関連機器の卸売業を営む会社の代表取締役。15年前に投資用として購入した事務所ビル(築33年・地上5階建・延床面積850㎡)の売却を検討中。立地は都内の準商業地域で、複合商業施設の開発予定地から徒歩5分。現在の入居率は85%で、5テナントが入居。休日は会社の若手社員とフットサルを楽しむことが趣味。
※プライバシー保護により仮名
