体験談(不動産売却コンサルティング)

高橋さま|査定差9,000万円に迷った事務所ビル売却!修繕・税金を整理し方針が明確に

都内で事務所ビルを1棟所有していた高橋さま(58歳・仮名)は、15年間支えてくれた資産を手放すかどうかで立ち止まっていました。

きっかけは、設備会社から届いた約4,000万円の修繕見積書です。

判断材料がほしくて仲介会社3社へ査定を頼んだところ、返ってきた金額には約9,000万円もの開きがありました。

「高い数字をそのまま信じていいのか…」「修繕して持ち続けるほうが得なのか…」考えるほど迷いが深くなり、答えの出ない日が半年近く続いたといいます。

後継者は決まらず、自分の年齢も頭をよぎる。売却価格、税金、借入の返済、引き渡しの時期と、向き合うべきことは増える一方でした。

今回、当方の「不動産売却コンサルティング」を利用された高橋さまに、当時の迷いと、自分で結論を出すまでの道のりをうかがいました。


代表 西田:
本日はお時間をいただきありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。

高橋さま:
よろしくお願いします。
収益物件の出口で足踏みしている方は多いと思うので、私の経験が少しでも役に立てばうれしいです。


事務所ビルの売却について、相談された経緯を教えていただけますか?

高橋さま
※記事内の写真はイメージです

相談したのはある年の9月でした。その年の春に設備会社から届いた1通の見積書を、何度も引っ張り出しては眺めていた時期です。

所有していたのは、都内の商業地域に建つ事務所ビルです。築33年・地上5階建て・延床面積850㎡で、15年前に約3億2,000万円で購入しました。

本業はIT関連機器の卸売業ですが、景気の波を受けやすい商売なので、別の収益の柱がほしかったんです。全6区画のうち5区画に法人が入り、稼働率は85%、年間の賃料収入は約3,100万円で推移していました。

きっかけは、空調機器と外壁防水の更新に約4,000万円かかると言われたことです。数字を目にした瞬間、ふっと力が抜けました。

私は58歳で、後継者も決まっていません。ここで大きなお金を入れるべきなのか、自分の中で答えが出せなくなりました。

まず仲介会社3社に査定を頼みましたが、金額に約9,000万円もの開きが出てしまって…

売る前提の会社に売り方を聞いても堂々巡りだと感じ、取引先の社長から紹介されたクラウドハーツ・リアルエステートさんへメールで連絡しました。

オンライン面談を2回、対面での打ち合わせを1回重ねたうえで、最終的には修繕をせず現状のまま売却する道を選んでいます。

約9,000万円の査定差や約4,000万円の修繕費を前に、どのような点で判断に迷われていましたか?

一番戸惑ったのは、3社の査定額の幅でした。高い会社は約3億8,000万円、低い会社は約2億9,000万円で、同じビルを見てもらったとは思えない差なんです。

どの数字を信じればいいのか、そもそも何が違ってこうなるのか、まったく見当がつきません。高い金額を出した会社の説明も、聞けば聞くほど根拠があいまいに感じられて…

もうひとつが修繕です。空調と外壁防水で約4,000万円といえば、賃料収入の1年分を大きく超えます。

工事をすれば入居中の法人にも安心してもらえますし、空いている1区画が埋まる見込みも出てきます。ただ、次の10年でまた別の設備が寿命を迎える可能性が頭をよぎりました。

地域の将来性も読み切れませんでした。駅前の整備は少しずつ進んでいるものの、オフィス需要がこの先も続くという確信までは持てなくて。

そして最後に残ったのが、自分自身の年齢です。息子は別の業界で働いていて、会社もビルも継ぐ気はありません。

私が動けるうちに整理しておかないと、家族に重い判断を押しつけることになる。保有を続けるか売るか、天秤がぐらぐら揺れたまま、半年近く答えを出せずにいました。

仲介会社ではなく、当方の不動産売却コンサルティングを選ばれたのはなぜですか?

紹介してくれたのは、20年来の付き合いがある取引先の社長です。自宅の売却で世話になったそうで。完全紹介制と聞いて少し身構えましたが…。

相談前には、一括査定サイト、仲介会社の無料相談、顧問税理士への確認と、ひと通り試しました。ただ、税理士は税金の計算はしてくれても、ビルがいくらで売れるかまでは踏み込めません。

仲介会社は逆で、価格の話は具体的に出るものの、売買が成立して初めて報酬が入る立場です。「このまま持ち続けたほうがいい」という結論は、構造的に出にくいと感じました。

私が知りたかったのは、売る方法ではなく、売るべきかどうかでした。修繕して持ち続ける道も含めて、利害のない立場から見てもらいたかったんです。

クラウドハーツ・リアルエステートさんは、すでに受けた査定の妥当性をセカンドオピニオンとして確認してくれると聞き、それなら3社の差の正体もわかるかもしれないと考えて連絡しました。

コンサルティングを受けて、事務所ビルの価値や売却判断について何が見えてきましたか?

最初に頼まれたのは、資料をそろえることでした。何を見るのかだけでなく、なぜ見るのかまで説明してもらえたのが印象に残っています。

  • 全6区画の賃貸借契約書とレントロール
    契約の残り期間や賃料の推移が、買主の収支計算の土台になるため
  • 過去の修繕履歴と、約4,000万円の見積書
    どこまで手を入れてきたビルなのかで、価格の見方が変わるため
  • 借入金の返済予定表と残高がわかる書類
    売却代金から先に差し引かれ、手取りを左右するため
  • 仲介会社3社の不動産査定書
    金額そのものより、前提条件の違いを読み取るため
  • 登記事項証明書・建物図面・固定資産税の納税通知書
    土地と建物の面積や権利関係を、公的な書類で押さえるため
  • 不動産所得を申告している書類一式
    減価償却の進み具合から、売却時の税金の見当をつけるため

集めるのに2週間ほどかかりましたが、この作業そのものが頭の整理になったと後で気づきました。

査定差の正体は、想定していた利回りと空室の読み方の違いでした。空いている1区画をいくらで埋められると見るか、修繕費を価格から差し引くかどうかで、億単位の差が生まれると説明を受け、ようやく腑に落ちました。

地域については、路線価と公示地価がこの10年でどう動いてきたか、周辺のオフィスの募集賃料と空室率、行政が公表している再開発の計画を一緒に確認しています。

値上がりを期待できる材料は見当たらず、賃料も横ばい。この先の伸びに賭けるより、今の稼働状況を評価してもらえるうちに動くほうが現実的だと感じました。

そのうえで、3つの道を並べてもらいました。

  1. 修繕せずに保有を続ける
    → 当面の出費は抑えられるものの、設備の不具合が空室につながる不安が残る
  2. 約4,000万円をかけて修繕し、稼働率を上げてから売る
    → 賃料は伸びる見込みがある一方、資金の回収に時間がかかる
  3. 現状のまま売却する
    → 修繕費を価格から引かれるが、負担も手放せる

説明の中で驚いたのが、修繕費の扱いです。空調の更新や外壁防水は資本的支出として扱われ、支払った年に全額を経費へ計上できない場合が多いと知りました。

その年の税負担が軽くなると思い込んでいたので、修繕を選びかけていた私には痛い指摘でした。

もうひとつが消費税です。賃料収入の規模から課税事業者にあたり、建物部分の売却に消費税が関わってくる。この論点は、3社の査定書のどこにも書かれていませんでした。

売却価格の大きさばかり見ていた私に、税金と借入返済を引いた後の手取りで比べましょうと伝えてもらえたことが、一番の転換点だったと思います。

最終的にどの方法を選び、何が決め手になりましたか?

選んだのは、修繕をせず現状のまま売却する道です。

決め手になったのは、手取りの試算でした。売却価格の目安を3億4,000万円と置くと、次のような形になります。

3億4,000万円 − 建物部分の消費税 約950万円 − 仲介手数料などの諸費用 約1,200万円 − 借入残高 約1億1,000万円 − 譲渡所得税など 約850万円 = 手元に残る金額 約2億円

3億4,000万円という数字だけを見ていたときと、約2億円という数字を見たときでは、覚悟がまるで違いました。

約4,000万円をかけて修繕する道は、空室が埋まって賃料が伸びたとしても、投じた分をそのまま価格へ上乗せできるとは限らないと聞いています。買主にとって、更新済みの設備は当然の前提として見られやすいそうです。

数字と同じくらい大きかったのが、引き渡しまでの時間でした。工事には工期がかかり、入居中の法人との調整も必要で、売り出しは1年近く先になります。

そのころには本業の設備投資も重なる予定で、大きな判断を2つ同時に抱える形になる。それだけは避けたいと考えました。

妻から「これ以上悩む顔を見たくない」と言われたことも、背中を押してくれます。継ぐ相手が決まっていない資産を、答えの出ないまま置いておく理由はもうないと思えたんです。

※上記の計算は、高橋さまの取得費、土地と建物の価格配分、当時の借入残高などをもとにした試算の一例です。税額や諸費用は、契約内容や申告方法によって変わります。

相談後、事務所ビルの売却はどのように進み、現在はどのような状況ですか?

売却活動を始めるにあたって、査定を受けた3社の中から、収益不動産の取引実績と、募集の進め方を具体的に説明してくれた1社へ依頼しました。

一番高い金額を出した会社を選ばなかったのは、その根拠を自分で確かめられるようになっていたからです。

売り出しは3億6,800万円からのスタートでした。年明けに2件の法人から問い合わせが入り、その後に3億4,000万円で合意しています。

交渉で焦点になったのは、やはり修繕でした。買主は空調と外壁の更新を前提に検討していたため、その負担分は価格へ織り込む形で決着します。

ただ、契約の直前に空調1台が止まってしまい、そこだけは売主負担で修理しました。外壁は現状のまま引き渡す条件です。

引き渡しは無事に済み、借入も同時に完済できました。残っているのは来年の申告で、譲渡所得の手続きは顧問税理士と進めています。

肩の荷が下りたというより、長く抱えていた宿題をようやく提出し終えた感覚に近いですね。

コンサルティングを受けて、良かった点や気になった点を率直に教えていただけますか?

良かったのは、判断の物差しが「価格」から「手取り」へ変わったことです。

査定額だけを追いかけていたら、税金や借入の返済を後回しにしたまま契約していたと思います。自分では気づけない論点を、契約の前に出してもらえた意味は大きかったです。

売却しない選択肢を最後まで消さずに残してくれたことも助かりました。比べる相手があったからこそ、売る決断に納得できています。

一方で、戸惑いもありました。

判断材料は丁寧にそろうものの、最後に決めるのは自分。楽をしたい気持ちがあった私は、初回の面談を終えた後、正直なところ少しもやもやしました。

税金の説明も、1回では飲み込めません。中でも消費税のくだりは難しく、後日、税理士を交えて確認し直しています。

それと、紹介がなければたどり着けなかった点も惜しいところです。修繕の見積もりを取る前から相談できていれば、悩んだ半年は短くなっていたはずですから。

同じように収益物件の売却判断で迷っている方へ、伝えたいことはありますか?

査定額に差が出ている方は、金額ではなく前提条件を並べて比べてみてください。空室をどう見込んでいるか、修繕費を引いているかがそろえば、数字は自然と近づいてきます。

大きな修繕を控えている方は、支出額だけで決めないほうがいいと感じました。工事の期間、入居者への影響、税務上の扱いまで並べないと、本当の損得は見えてきません。

年齢や後継者のことで迷っている方には、判断を先送りするほど、家族が背負うものが重くなるとお伝えしたいですね。

相談の前に準備しておけばよかったと思うのは、次の3つです。

  • 直近3年分の賃料の入金実績と空室の期間を書き出す
    稼働の波が見えると、査定の前提が妥当か判断しやすいため
  • 修繕の見積もりは複数社で内訳まで比べる
    総額だけでは、今すぐ必要な工事と先送りできる工事の線引きができないため
  • 売却後のお金の使い道を家族と話す
    必要な金額が決まると、価格の交渉でぶれにくくなるため

特に最後は、書類をそろえること以上に効きました。私の場合は、退職後の生活費と社員への還元をどう組むかがはっきりして、交渉の場でも落ち着いていられたと思います。

ビルを手放した今は、月2回の若手社員とのフットサルが以前より楽しく感じられます。ボールを追いかけている間だけは、数字のことを忘れられますから。


代表 西田:
本日はありがとうございました。
迷いを1つずつ数字に置き換えながら進まれた過程が、今日のお話からもよく伝わってきました。

高橋さま:
私のほうこそ、答えを急がせずに待ってもらえたことがありがたかったです。
決めきれずにいた半年が、ようやく意味のある時間だったと思えました。


【今回お話を聞いた方】

高橋さま

[名前]高橋さま(仮名)
[年齢]58歳[居住地]東京都
[家族構成]妻・成人した子ども2人
IT関連機器の卸売会社を経営する一方、15年前に購入した築33年・地上5階建ての事務所ビルを保有。全6区画のうち5区画が稼働していたが、空調機器や外壁防水の更新に約4,000万円かかると分かり、後継者が決まっていないことも重なって売却を考え始めた。仲介会社3社の査定額に約9,000万円の差があり、どの提案を信頼すべきか判断できなかったため相談。修繕負担や借入残高、税金を含めて条件を整理し、納得できる売却方針を固めたうえで手続きを進めている。

※写真はプライバシー保護のためイメージです。


【取材・編集について】

  • 取材対象:不動産売却コンサルティング利用者
  • 取材方法:オンラインインタビュー
  • 確認資料:相談時の記録、事務所ビルの賃貸借条件、修繕見積書、手取りの試算
  • 匿名加工:プライバシー保護のため氏名など一部の情報を変更
  • 内容確認:公開前に取材対象者および代表の西田が確認

西田 喜宣(ニシダ ヨシノブ)

不動産×住宅業界20年以上。3,000人以上の売却・購入・住み替えなどをサポート。不動産コンサルティングのクラウドハーツ・リアルエステート代表。運営メディアは累計120万PV超 【経歴】大手不動産会社・ハウスメーカー営業15年10ヶ月→現職の代表 【資格】公認 不動産コンサルティングマスター|宅地建物取引士|2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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